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永江 勇二; 江沼 康弘*; 押切 正人*; 伊達 新吾*; 豊吉 晃*; 相澤 大器*; 小山 庸一*; 柳沢 祐介*
耐熱金属材料第123委員会研究報告, 52(2), p.161 - 169, 2011/07
実証施設の蒸気発生器管板に改良9Cr-1Mo鋼極厚鍛鋼品の適用が検討されているが、本鍛鋼品はこれまでに製造実績のない大きさ,形状となることから、実規模レベルの試作材を製造し、その製作性及び機械的特性の確認を行った。本試作は次の2点に留意して計画を行った。本試作体は偏析低減の観点から1800mmESR(エレクトロスラグ溶解法)鋼塊より製造し、実機製造時にも同種の鋼塊の使用を計画している。試作体と実機で鋼塊重量が異なるものの、試作体では実機相当の鋼塊性状が得られるものと思われる。また、試作体の熱処理に対して実機管板とほぼ同一の板厚形状及び熱処理条件を適用することにより、実機で予想される熱処理起因の機械的性質の板厚方向分布を模擬することが可能となる。
永江 勇二
耐熱金属材料第123委員会研究報告, 52(2), p.125 - 134, 2011/07
改良9Cr-1Mo鋼を対象に、ヒステリシスエネルギー速度によるクリープ疲労寿命評価法の妥当性を評価した。ヒステリシスエネルギー速度と破損時間の関係は近似的にべき乗則で表される。圧縮保持においては、同じ試験温度の引張保持等の係数と比較し、Aの値が小さくなっていた。これは、見かけの破壊エネルギーが引張保持と比べて低下していることを意味しており、き裂の発生寿命や進展速度の減少と関係していると考えられる。ヒステリシスエネルギー速度に破損時間を乗じた値は、見かけの破壊エネルギーと考えられ、見かけの破壊エネルギーの変化もべき乗則で表される。見かけの破壊エネルギーの変化と金属組織変化との対応を評価した。その結果、破損時間の増加による見かけの破壊エネルギーの減少は、マルテンサイト・ラス組織の回復や等軸化と対応していることが考えられた。また、見かけの破壊エネルギーの変化に基づいたヒステリシスエネルギー速度による評価と比較して、時間消費則によるDDS案に従った評価は安全側の評価となる。相対的比較ではあるが、時間消費則による評価はそれと比べて安全側の予測となっており、高温構造設計としては妥当であると考えられる。
若井 隆純; 鬼澤 高志; 小原 智史; 中島 崇*; 横山 哲夫*; 伊勢田 敦朗*; 小雲 信哉*; 二神 敏*
耐熱金属材料第123委員会研究報告, 52(2), p.171 - 181, 2011/07
先進ループ型ナトリウム冷却高速炉(JSFR)の蒸気発生器に適用予定の密着型2重伝熱管の製作性見通しを得ることを目的として、過去に製造実績のない改良9Cr-1Mo鋼製薄肉小径伝熱管の製作性見通しを、国内メーカーの有する既存の工業規模製造設備を用いた試作によって得るとともに、試作管に対する機械的試験や金属組織観察を通じて、所要の性能が具備されていることを確認した。また、試作管を用いて密着2重伝熱管を試作し、長さ15mまでの製作性見通しを得た。さらに、密着2重伝熱管に求められる内外管間の空隙幅,面圧及び等価熱伝導率を測定し、種々の製作パラメータについて検討するとともに、今後の課題を抽出した。
若井 隆純; 永江 勇二; 高屋 茂; 小原 智史; 伊達 新吾*; 山本 賢二*; 菊地 浩一*; 佐藤 健一郎*
耐熱金属材料第123委員会研究報告, 52(2), p.147 - 159, 2011/07
FBR温度領域におけるType-IV損傷の顕在化について検討することを目的として改良9Cr鋼溶接継手長時間クリープ試験,クリープ疲労試験,破断後の溶接継手試験片の観察・分析等の強度データ取得及び破壊形態調査を実施した。
吉田 悠*; 光原 昌寿*; 池田 賢一*; 中島 英治*; 若井 隆純
耐熱金属材料第123委員会研究報告, 47(10), p.109 - 113, 2006/07
VとNbの添加が高Crフェライト系耐熱鋼におけるクリープ挙動及び寿命に与える影響を調査し、その傾向をつかむために、VNb添加量を変化させた11種の材料に対し、クリープ試験を行った。そのデータを法により解析し、方位像顕微鏡による結晶方位解析結果と併せて、組織と法の二つのパラメータの相関について検討を行った。その結果、法による余寿命評価の有効性と、VNb添加量が法パラメータに及ぼす影響が大きいことが示された。また、Nb添加に伴い、マルテンサイト組織が変化することがわかった。
西山 裕孝; 深谷 清; 鈴木 雅秀; 衛藤 基邦; 庄子 哲雄*
耐熱金属材料第123委員会研究報告, 32(2), p.169 - 175, 1991/00
400Cから500Cの範囲で最長5万時間まで熱時効を行ったHTTR圧力容器用21/4Cr-1Mo鋼について、硝酸カルシウム溶液中で計測したアノード分極曲線を用いた、粒界脆化の非破壊的な評価手法の検討を行った。そして、それらの結果とシャルピー衝撃特性の相関を考察し、本法のサーベイランス試験法としての適用可能性を示した。得られた主な知見は以下のとおりである。(1)アノード分極曲線中の2次ピーク電流密度の上昇量と、粒界脆化度は、時効温度に依存した一義的な相関が得られた。これにより、供用期間中の21/4Cr-1Mo鋼の遷移温度の上昇を非破壊的に診断できる。(2)上記(1)の相関においては、低温側の時効ほど同じ粒界脆化度に対する2次ピーク電流密度の変化が著しく、これは脆化に対してより実効的なPの偏析状態を敏感に反映した結果であると考えられた。
倉田 有司; 小川 豊
耐熱金属材料第123委員会研究報告, 28(2), p.213 - 220, 1987/00
ハステロイXRおよびXR-IIのクリープ特性に及ぼす冶金的因子のうち、特に影響の大きいと考えられる結晶粒度と固溶化温度について調べた。二段熱処理を施した試料を用いることにより、この二つの因子を分離して検討するこを試み、以下の結果を得た。(1)900Cの破断時間には結晶粒度と固溶化温度の両者が関係するが、700Cでは固溶化温度のみが関係した。(2)固溶化温度を一定とした試料を用いると、900Cでは定常クリープ速度の結晶粒度依存性が認められたが、700Cでは認められなかった。900Cのデータは粒界における転位の発生消滅モデルを支持するものであった。(3)ポロンはクリープ速度を低くし、破断延性を高めたが、破断時間や定常のクリープ速度の固溶化温度依存性は高くなった。
吉田 悠*; 光原 昌寿*; 池田 賢一*; 中島 英治*; 若井 隆純
no journal, ,
高クロムフェライト系耐熱鋼の値の変化に及ぼすにおける析出強化元素量の影響を理解するため、VNbの添加量を調整した10Crフェライト鋼について法によるクリープ曲線解析と組織観察を行った。その結果、Nb添加による強化はラス内の微細析出物による転位運動の抑制によること、V添加による強化はラス境界を被覆する析出物によるラス境界の移動の抑制によること、複合添加による強化はこれらの加算により説明できることなどを明らかにした。
光原 昌寿*; 池田 賢一*; 波多 聰*; 中島 英治*; 若井 隆純
no journal, ,
HAADF-STEM法を用いた電子線トモグラフィー観察を行い、高Crフェライト系耐熱鋼の組織に対して、3次元可視化技術の応用を試みた。また、Nb及びVを添加した高Crフェライト系耐熱鋼における析出物の分布について検討を行った。
村田 純教*; 白木 厚寛*; 竹田 広太朗*; 塚田 祐貴*; 斎藤 良裕*; 森永 正彦*; 小山 敏幸*; 高屋 茂
no journal, ,
組織自由エネルギーにより鋼、特に炭窒化物や金属間化合物を析出相として含むマルテンサイト系耐熱鋼やオーステナイト系耐熱鋼の組織変化をエネルギーの観点から評価してきた例について述べる。
小原 智史; 永江 勇二; 浅山 泰; 河野 恵太*; 船越 義彦*; 石倉 修一*; 浦田 一宏*
no journal, ,
延性・靱性に優れる高速炉用高Cr鋼の開発に向けて、V及びNb添加量をそれぞれ調整した高Cr鋼に対して高温機械試験並びに組織観察・分析を実施し、高速炉用高Cr鋼の最適添加量について検討した結果、延性・靱性(ここではクリープ破断延性,熱時効後靱性)が改良9Cr-1Mo鋼と同等以上であり、かつ改良9Cr-1Mo鋼と同程度のクリープ強度特性を発揮させるV及びNb添加量を示した。また、この成分系の鍛鋼品を試作し、材料特性を調査した結果、改良9Cr-1Mo鋼鍛鋼品と比較して優れた強度特性を有していることを示した。
鬼澤 高志; 浅山 泰; 大谷 知未*
no journal, ,
現在、検討を実施している実証炉の構造材料への適用には、原子力材料への規格化と合わせて、60年設計を可能とするために、最長50万時間まで対応した材料強度基準の整備が必要である。材料強度基準では、設計引張強さSuや設計降伏点Syなどの許容値に加え、クリープを考慮した高速炉特有の許容値である設計クリープ破断強さSRや設計応力強さStなどを規定しており、それらを策定するには、クリープ破断関係式など各種材料特性式を整備する必要がある。本論文は、改良9Cr-1Mo鋼のクリープ破断関係式に関する検討内容及び策定結果を示す。